芸術家外伝

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Rococo

純粋な気持ちで

19世紀の前半の画壇では文学的あるいは歴史的テーマを描くことが主流であったが、そんな中で風景画のみを描き続けた画家たちがいる。それがバルビゾン派の画家たちである。奇しくも同じく時代にイギリスでも風景画の黄金期が築かれるのだが、それはまた次回とする。

風景画というものは明確なテーマを主張しないために技法以外には解説を要しない。ので今回はあまり深く考えずに純粋な気持ちで絵画のみを見てもらいたい。

アプルモン, 柏の木群

この作品はテオドル・ルソーの『アプルモン, 柏の木群』という絵である。彼は自然に及ぼされる光の効果の表現に優れている。

ちなみにバルビゾン派の画家たちはパリ近郊のフォンテーヌブローの森などのありふれた風景を制作している。

モントフォンテーヌのボートマン

ジャン=バティスト=カミーユ・コローの風景画も自然観察に基づいている。『モントフォンテーヌのボートマン

ジュネーヴのバキ海岸

そして古典主義的端正さをもつ構図や対象の形態を幾つかの面に還元する方法は理知的なものを感じさせる。『ジュネーヴのバキ海岸

洗練された銀灰色を主調とする彼の晩年の風景画はややマンネリズムに陥っている。

Woman Reading in a Landscape

彼は人物画にも優れ、瑞々しい多くの婦人像をのこした。『Woman Reading in a Landscape

1830年代から世紀中葉にかけてのこれらの風景画はロマン主義的な自然愛好の心情から出発し、写実主義への道を開いた。そして印象主義にも結びついてゆくのである。